時計を見ると、まだ時間があった。 そのままベッドに倒れ込む。 窓からは山際に出たばかりの、きれいな三日月が見えていた。 「あと一月しかないのね。恋もしないで、私は結婚するのかしら…。」 イザリナは、恋をしたかった。 勉強よりも、乗馬など体を動かす方が好きだが、読書だけは昔から大好きだった。 本の中では、皆、幸せな恋愛から結婚する。 「第一王女…恋愛すらも許されない身分なのね。」 その点では、この国の誰よりも不自由かもしれないと失笑しながら、ナキヤのノックに身を起こした。