明日も逢おうね 〜 君のいた世界 〜

ー 10年前 ー

「転校生の原田 雛実さんです」

人に興味がなかった俺はそんな言葉にでさえ見向きもしなかった
俺は中学生でも珍しい不良ってやつで
大人に突っかかっては誰かを怪我させる毎日だった
先公たちもそんな俺を邪魔者扱いした。
だから学校も嫌いで、出席しているだけの存在だった俺は充実感など感じるはずもなく
部活で汗を流している奴やカレカノなどと騒いでいる奴を見かけると、片っ端から睨みつけていた

「あの...原田です...宜しくお願いします」

蚊が鳴いたような声が隣から聞こえた
隣には転校生が席に着いていた
俺に話しかけてくるはずがない。逆隣の奴にだろうと思っていた
俺は再び窓の外を眺めた
すると二の腕あたりをチョンチョンと突かれた
サッと隣を見ると転校生がこちらをじっと見ていた

「宜しく...お願いします...」

消え入りそうな声で転校生はそう呟いた

「ああ」

自分は人を突き放すのが得意技だと思った
でもそれでも転校生はめげなかった

「お名前は...」
「栗田 茂希」

俺が名前を告げただけなのに
転校生の顔はそれまでとは比べ物にならない程の笑顔で

「じゃあシゲ!」
「は?」

思わずそう声が出てしまった

「茂希だからシゲ」



ここからだった
俺の人生がガラッと一変したのは


*