帰り道。
由宇は朔におぶられて
ウトウトしていた。
「由宇ちゃんって
ホントにしっかりしてるけど
こういうところは,
年相応でかわいいね。」
陽和は由宇の様子を見ながら
微笑んだ。
「そうだなあ。
ホント,由宇には
癒されるよ。」
「ふふ。わかるなあ。」
朔はそんな陽和の様子を見て
ついポツリとつぶやいて
しまった。
「俺たちって・・・
傍から見たら・・・
親子に見えるかな。」
「・・・え・・・。」
「あ・・・。」
朔はしまったと思い
思わず口を押えた。
「いや・・・あの・・。」
陽和は顔を赤らめながら
朔から視線を反らした。
「・・・でも・・・
そうよね・・・
年齢的には・・
おかしくないものね。」
「・・・あ・・うん・・。」
「あの・・・さ・・・。」
朔は慈しむような表情で
陽和を見つめる。
「・・・うん・・・。」
その優しい横顔に
陽和はまたときめいていた。
・・この素敵な男性は・・
私の・・・彼なの・・・よね・・。
陽和は・・・また
顔を少し赤らめた。
「由宇の・・・ことなんだけど・・。」
「うん。」
「俺さ・・・由宇の
父親には・・やっぱり
なりきれなかった。」
「・・・うん。」
陽和は以前に古川先生や
中村先生から聞いたことを
思い出していた。
「だけど・・・由宇は
俺のかけがえのない
家族なんだ。」
「・・・うん。
そうだね・・・。
そうだと・・思うよ。」
陽和は朔の真剣な表情を
少し和らげるような口調で
そういった。
「でさ・・・陽和?」
「うん?」
「・・え・・・えっと・・・。」
朔は突然,声の温度を
少し上げて・・
緊張していた。
「俺は・・・陽和とさ・・・
し・・真剣に・・・
その・・・先のことを
考えて・・・
付き合いたいんだ・・。」
「・・え・・・あ・・・。」
突然の朔の言葉に
陽和の心臓は大きく音を立てた。
「・・・あ・・そ・・・
それで・・その・・・
み・・未来を考えるとき
・・・その・・・・
どうしても・・・
2人だけの未来は・・・
・・・考えられない。
さ・・・3人での未来を
考えて・・・るんだけど・・・
そ・・それで・・いい?」
「え・・・・?」
「その・・・つまり・・
俺と・・由宇と・・・
陽和と・・・3人で・・・
あ・・いや・・
今すぐにってこと
じゃないんだけど・・・
将来的には・・
家族として生きていくことを
考えてくれたら
うれしいって・・・こと。」
「・・・か・・・ぞく・・・。」
陽和は朔の言葉に驚きつつ
心の底に温かい温かいものが
流れていくのを感じた。
「・・・・朔ちゃん・・・。」
陽和は・・・
この人を好きになって・・
よかったとあらためて思った。
そして・・・子どものころ,
朔のことを好きになった
自分を誇りに思った。
そして・・・陽和は
覚悟を決めて話し始めた。
「朔ちゃん・・
あの・・・私の・・
正直な気持ちを・・・
・・・言っても・・いいかな。」
「あ・・・うん。」
朔は真剣なまなざしで応える。
「私・・・ね・・・
あの・・・
まだ・・付き合い始めて・・
その・・・すぐだし・・・。」
「あ・・そ・・そうだよな。
昨日付き合い始めたばかりなのに・・
ごめん・・なんか俺・・
焦ってる・・・
・・かな・・・。」
「・・・ううん・・ちがうの
そうじゃないの・・あの・・・。」
陽和はまたゆっくりと
話し始める。
「あのね・・・あの・・
私・・由宇ちゃんのこと・・
大好きよ。
も・・もちろん・・・
朔ちゃんのことも・・・。」
「・・・うん。」
朔は照れ臭そうに笑う。
「朔ちゃんがどれだけの
覚悟を持って,由宇ちゃんと
暮らしてきたか,
そして,由宇ちゃんや朔ちゃんが
大切な人を失ったつらさとか,
それを乗り越えるために
どれだけ頑張って生きてきたか
とか・・・
私はまだ,ほんのわずかしか
わかっていないと思う。」
「・・・いや・・
そんな・・・大した・・・
あれじゃない・・よ・・?」
朔は目を潤ませながら
一生懸命に語る陽和に
うれしさといとおしさを感じていた。
「ううん。
子育てってそんな甘いことじゃ
ないもの。
本当に二人が協力して
努力してやってきたんだと
思うよ。」
「・・・・。」
陽和の大きな瞳からこぼれる涙と
その強いまなざしに
朔は眩暈がしそうだった。
本当に今の陽和は強く美しく
輝いている・・。
しなやかに強くなった
陽和に・・
朔はまた・・惚れ直していた。
「だから・・・私・・・
あの・・そんなに
軽々しく・・・
考えてはいけないというか・・・
もっともっと時間をかけて
由宇ちゃんのことも
朔ちゃんのことも
知っていかなくてはいけないと
思っているし・・・
即答してしまったら
なんだか失礼な気も
するの・・・。」
「・・・う・・うん・・。」
「だけど・・・
・・・本音はね・・・。
私の考えは甘いかもしれないし
覚悟なんて・・・いうものは
ないに等しいのかも
しれなくて・・・とっても
無責任な言葉になって
しまうかもしれないけど・・・
ずっと・・・・
・・・大好きな二人の
そばにいられたら・・・
幸せだろうと思う・・・。
だから・・・
私も・・・
二人の仲間に
入れてもらえるように
・・・頑張る・・から・・。
だから・・・
見守ってくれる・・・?
・・・朔ちゃん?」
陽和はそういうとまた,
その大きな瞳から
ぽろぽろと涙をこぼした。
朔はその様子を見て
大きくうなずき微笑んだ。
そして感動していた。
陽和の頭をポンと撫でて
胸に抱き寄せた。
「陽和・・・・
・・・・俺・・・
どうにもならないくらい・・・
幸せ・・だわ・・・。」
「・・・朔ちゃん。」
陽和は朔が涙声なのに気づいた。
陽和は・・・
これまではずっと
朔に守ってもらって
きたけれど・・・
これからは・・・少しは自分も
朔ちゃんのことを
守ることができるのかも
知れないなと感じ始めていた。
3人で・・・支えあって
生きていけたら・・・
どれだけ幸せだろう。
陽和は・・・
大きな覚悟を持って
その幸せへと突き進もうと
決意していた。
「ありがと・・な。
陽和・・・。
わ・・・俺・・・
また・・・
かっこ悪いな・・・。」
涙声の朔は由宇をおぶりながら
照れた声で言った。
「どうして・・・
なの・・かな・・・?」
「うん?」
「いや・・・なんか
陽和の前だとどうしても
かっこ悪くなっちゃうん
・・だよな・・・。」
「え・・・。」
「いや・・・ホントは・・
陽和の前で一番
格好良くいたいんだけどさ・・。」
「・・ふふ・・・。」
朔がすねたような声で
そう言うので
陽和はくすっと笑った。
「陽和に嫌われないか
心配だな・・・。」
「え・・・あ・・・・
だ・・・大丈夫・・
・・・あの・・・。」
「うん?」
「朔ちゃんは・・・ずっと・・・
子どものころから・・・
かっこいいもん・・・。」
陽和は耳を赤くして
続ける。
「それに・・・・
・・・朔ちゃんの
そういう・・・ところも
見たい・・・。
全部・・・知り・・たい。」
「・・・・陽和。」
陽和の素直な気持ちは
朔の胸をぎゅっと締め付ける。
お互いに照れてしまった二人は
その後,言葉を発することが
できぬまま・・・
でも・・どこか幸せな空気に
包まれて
家までのわずかな距離を歩いた。
由宇は朔におぶられて
ウトウトしていた。
「由宇ちゃんって
ホントにしっかりしてるけど
こういうところは,
年相応でかわいいね。」
陽和は由宇の様子を見ながら
微笑んだ。
「そうだなあ。
ホント,由宇には
癒されるよ。」
「ふふ。わかるなあ。」
朔はそんな陽和の様子を見て
ついポツリとつぶやいて
しまった。
「俺たちって・・・
傍から見たら・・・
親子に見えるかな。」
「・・・え・・・。」
「あ・・・。」
朔はしまったと思い
思わず口を押えた。
「いや・・・あの・・。」
陽和は顔を赤らめながら
朔から視線を反らした。
「・・・でも・・・
そうよね・・・
年齢的には・・
おかしくないものね。」
「・・・あ・・うん・・。」
「あの・・・さ・・・。」
朔は慈しむような表情で
陽和を見つめる。
「・・・うん・・・。」
その優しい横顔に
陽和はまたときめいていた。
・・この素敵な男性は・・
私の・・・彼なの・・・よね・・。
陽和は・・・また
顔を少し赤らめた。
「由宇の・・・ことなんだけど・・。」
「うん。」
「俺さ・・・由宇の
父親には・・やっぱり
なりきれなかった。」
「・・・うん。」
陽和は以前に古川先生や
中村先生から聞いたことを
思い出していた。
「だけど・・・由宇は
俺のかけがえのない
家族なんだ。」
「・・・うん。
そうだね・・・。
そうだと・・思うよ。」
陽和は朔の真剣な表情を
少し和らげるような口調で
そういった。
「でさ・・・陽和?」
「うん?」
「・・え・・・えっと・・・。」
朔は突然,声の温度を
少し上げて・・
緊張していた。
「俺は・・・陽和とさ・・・
し・・真剣に・・・
その・・・先のことを
考えて・・・
付き合いたいんだ・・。」
「・・え・・・あ・・・。」
突然の朔の言葉に
陽和の心臓は大きく音を立てた。
「・・・あ・・そ・・・
それで・・その・・・
み・・未来を考えるとき
・・・その・・・・
どうしても・・・
2人だけの未来は・・・
・・・考えられない。
さ・・・3人での未来を
考えて・・・るんだけど・・・
そ・・それで・・いい?」
「え・・・・?」
「その・・・つまり・・
俺と・・由宇と・・・
陽和と・・・3人で・・・
あ・・いや・・
今すぐにってこと
じゃないんだけど・・・
将来的には・・
家族として生きていくことを
考えてくれたら
うれしいって・・・こと。」
「・・・か・・・ぞく・・・。」
陽和は朔の言葉に驚きつつ
心の底に温かい温かいものが
流れていくのを感じた。
「・・・・朔ちゃん・・・。」
陽和は・・・
この人を好きになって・・
よかったとあらためて思った。
そして・・・子どものころ,
朔のことを好きになった
自分を誇りに思った。
そして・・・陽和は
覚悟を決めて話し始めた。
「朔ちゃん・・
あの・・・私の・・
正直な気持ちを・・・
・・・言っても・・いいかな。」
「あ・・・うん。」
朔は真剣なまなざしで応える。
「私・・・ね・・・
あの・・・
まだ・・付き合い始めて・・
その・・・すぐだし・・・。」
「あ・・そ・・そうだよな。
昨日付き合い始めたばかりなのに・・
ごめん・・なんか俺・・
焦ってる・・・
・・かな・・・。」
「・・・ううん・・ちがうの
そうじゃないの・・あの・・・。」
陽和はまたゆっくりと
話し始める。
「あのね・・・あの・・
私・・由宇ちゃんのこと・・
大好きよ。
も・・もちろん・・・
朔ちゃんのことも・・・。」
「・・・うん。」
朔は照れ臭そうに笑う。
「朔ちゃんがどれだけの
覚悟を持って,由宇ちゃんと
暮らしてきたか,
そして,由宇ちゃんや朔ちゃんが
大切な人を失ったつらさとか,
それを乗り越えるために
どれだけ頑張って生きてきたか
とか・・・
私はまだ,ほんのわずかしか
わかっていないと思う。」
「・・・いや・・
そんな・・・大した・・・
あれじゃない・・よ・・?」
朔は目を潤ませながら
一生懸命に語る陽和に
うれしさといとおしさを感じていた。
「ううん。
子育てってそんな甘いことじゃ
ないもの。
本当に二人が協力して
努力してやってきたんだと
思うよ。」
「・・・・。」
陽和の大きな瞳からこぼれる涙と
その強いまなざしに
朔は眩暈がしそうだった。
本当に今の陽和は強く美しく
輝いている・・。
しなやかに強くなった
陽和に・・
朔はまた・・惚れ直していた。
「だから・・・私・・・
あの・・そんなに
軽々しく・・・
考えてはいけないというか・・・
もっともっと時間をかけて
由宇ちゃんのことも
朔ちゃんのことも
知っていかなくてはいけないと
思っているし・・・
即答してしまったら
なんだか失礼な気も
するの・・・。」
「・・・う・・うん・・。」
「だけど・・・
・・・本音はね・・・。
私の考えは甘いかもしれないし
覚悟なんて・・・いうものは
ないに等しいのかも
しれなくて・・・とっても
無責任な言葉になって
しまうかもしれないけど・・・
ずっと・・・・
・・・大好きな二人の
そばにいられたら・・・
幸せだろうと思う・・・。
だから・・・
私も・・・
二人の仲間に
入れてもらえるように
・・・頑張る・・から・・。
だから・・・
見守ってくれる・・・?
・・・朔ちゃん?」
陽和はそういうとまた,
その大きな瞳から
ぽろぽろと涙をこぼした。
朔はその様子を見て
大きくうなずき微笑んだ。
そして感動していた。
陽和の頭をポンと撫でて
胸に抱き寄せた。
「陽和・・・・
・・・・俺・・・
どうにもならないくらい・・・
幸せ・・だわ・・・。」
「・・・朔ちゃん。」
陽和は朔が涙声なのに気づいた。
陽和は・・・
これまではずっと
朔に守ってもらって
きたけれど・・・
これからは・・・少しは自分も
朔ちゃんのことを
守ることができるのかも
知れないなと感じ始めていた。
3人で・・・支えあって
生きていけたら・・・
どれだけ幸せだろう。
陽和は・・・
大きな覚悟を持って
その幸せへと突き進もうと
決意していた。
「ありがと・・な。
陽和・・・。
わ・・・俺・・・
また・・・
かっこ悪いな・・・。」
涙声の朔は由宇をおぶりながら
照れた声で言った。
「どうして・・・
なの・・かな・・・?」
「うん?」
「いや・・・なんか
陽和の前だとどうしても
かっこ悪くなっちゃうん
・・だよな・・・。」
「え・・・。」
「いや・・・ホントは・・
陽和の前で一番
格好良くいたいんだけどさ・・。」
「・・ふふ・・・。」
朔がすねたような声で
そう言うので
陽和はくすっと笑った。
「陽和に嫌われないか
心配だな・・・。」
「え・・・あ・・・・
だ・・・大丈夫・・
・・・あの・・・。」
「うん?」
「朔ちゃんは・・・ずっと・・・
子どものころから・・・
かっこいいもん・・・。」
陽和は耳を赤くして
続ける。
「それに・・・・
・・・朔ちゃんの
そういう・・・ところも
見たい・・・。
全部・・・知り・・たい。」
「・・・・陽和。」
陽和の素直な気持ちは
朔の胸をぎゅっと締め付ける。
お互いに照れてしまった二人は
その後,言葉を発することが
できぬまま・・・
でも・・どこか幸せな空気に
包まれて
家までのわずかな距離を歩いた。
