ロッジに戻ると,
陽和が笑顔で待っていた。
「おかえり」
「ただいま」
「ひーちゃん,ただいま」
由宇はにこにこしながら
陽和と朔を交互に見る。
「どうしたの?
由宇ちゃん?」
「ううん。
僕,もう眠くなったから
先に寝るね」
「ああ…うん」
そういうと,
由宇は,今までで一番
幸せそうな顔で,
布団に入った。
ロフトに布団を敷いて,
3人で眠る。
由宇は,気を使って…なのか
ロフトに一番端の方で
眠っていた。
その幸せそうな笑顔を見ながら
朔も幸せそうに頭を撫でた。
「由宇ちゃん,よっぽど
楽しかったのね。
ホントに幸せそう」
陽和はそう解釈していたが,
朔は,由宇の笑顔の理由は
別のところにあることを
わかっていた。
「陽和…星が…
きれいだな」
横になると,
天窓からはきれいな
星空がまた見えた。
「ホント…」
「陽和,今日さ,
何の日か知ってる?」
「え…何かの
記念日だったっけ…?」
陽和は不思議そうな声で
そうつぶやいた。
「今日は…冬至…
くらいしか思いつかない…
何…だったっけ…?」
「そう。今日は冬至」
「…う…うん」
陽和は怪訝な声で
朔の方をちらりと見る。
「でも,特別な冬至」
「特別?」
「ああ…
今日はさ,
『朔旦冬至』なんだ」
「さくたんとうじ?」
「ああ」
朔は,やわらかく微笑んで
陽和の方を向く。
「朔は,俺の字の『朔』で
旦は元旦の旦」
「…うん」
「朔ってさ,新月っていう意味。
だから,今日は,星が
一番きれいに見える」
「ああ…なるほど。
そうだったんだ。」
「ああ…だけどさ…
それだけじゃないんだ」
朔の優しい声に
陽和は,朔の方を向く。
見つめあう二人には
暖かい不思議な空気が纏う。
「朔旦冬至っていうのは,
新月と,冬至が重なる日。
太陽が復活する日と
月が復活する日が重なるのは,
19年に一度しか
ないんだって」
「19年に1度…」
「ああ。太陽と月って…
俺たちみたいだろ。
それに…19年前…
…俺は…陽和に…
恋をした」
「…朔ちゃん…」
陽和は不思議と
涙が頬を
伝っていくのを感じた。
「今日しかないって,
そう思ったんだ。
陽和に…
どうしても,今日,
言いたいことがある」
「…朔…ちゃん…?」
朔と陽和は,,
お互いに対面で
座り直した。
陽和の心臓は,
今にも飛び出して
しまいそうなほど
高鳴っていた。
月夜に映される
朔の顔が…
輝いて見える。
朔は…陽和以上に
緊張していて…
手が…震えていた。
それでも…
全てのエネルギーをつぎ込んでも
陽和に…伝えたい
…強い思いが…
…朔にはあった。
「陽和…。
これまで…
ホントにありがとう」
「朔ちゃん?」
「俺と出会ってくれてありがとう。
子どものころさ,
陽和がいるから,毎日が
楽しかった。ありがとう。
それに…あのころ
傷つけてしまったこと…
ホントに…悪かった…」
陽和は首を横に振る。
陽和の頬は涙で濡れていた。
「そして…
大人になってから…
また…出会ってくれて
ありがとう。
俺の…彼女になってくれて
ありがとう。
由宇のことも…
大切にしてくれてありがとう」
陽和は涙ぐみながら
朔の言葉を聞き続ける。
「俺のこと…
好きになってくれて
ありがとう」
そういう朔の声も…
涙声になっていた。
「うーん…やっぱ俺…
陽和の顔見てたら
泣いちゃう…かもしれない」
「え…?」
「ここに来て…」
朔は,初めての夜と
同じように陽和を
自分の足の間に挟んで
後ろから抱きしめた。
「初めての夜と
同じだ…」
朔はクスクスと笑った。
「陽和,あのとき,
緊張してたな」
「朔ちゃんだって…」
「ああ…してた…
ものすごく…」
朔はまたクスッと笑った。
「でも…今の方が
もっと緊張してる」
「え…?」
「陽和…大好きだ」
「朔ちゃん…」
「陽和…
…もう俺の彼女…
卒業してくれないか?」
「え…?」
陽和は意味が分からずに
頭を混乱させる…。
だけど,朔はすぐに
言葉をつないだ。
「俺の…奥さんになって
くれませんか?」
「え…?」
「由宇と…俺と,
3人で,家族になって…
…くれませんか?」
また,朔は涙声で
陽和を強く抱きしめながら
そう言った。
陽和は…
涙を流しながら
後ろを振り返る。
朔の目に光る涙を
見つけて,そっと
親指で涙をぬぐう。
「朔ちゃん…
子どものころ,
泣いている私に,
こうしてくれた…よね?」
「ああ…」
「私も…子どものころから
ずっと…
…朔ちゃんにこういって
もらえること
…心のどこかで
待っていたのかもしれない」
「陽和…?」
「…よろしく…
…お願いします。
私でよければ…
朔ちゃんと
由宇ちゃんの家族に
入れてください…」
そう陽和が言うと,
朔は陽和をギュッと
強く抱きしめた。
「ありがと…陽和…」
そういうと,
朔はポケットから
小さな箱を取り出した。
「朔ちゃん?」
「ごめん…
実はさ…昨日…
これを取りに行ってた…
嘘ついてごめんな」
朔は済まなさそうに
そういう。
「え…朔ちゃん?」
「…ごめんな,
俺,何もスマートに
できないんだ…
だけど…呆れないで
…一緒にいてくれる?」
そう言いながら,朔は
箱から取り出した指輪を
そっと,陽和の
左手の薬指にはめた。
「…ありがとう…」
陽和はお返しに,
朔に口づける。
朔は強く強く陽和を
抱きしめる。
「ずっとずっと…
そばにいて…
俺と…由宇と…
3人で…
幸せになろう…」
陽和は何度も
頷きながら…
幸せをかみしめていた。
陽和が笑顔で待っていた。
「おかえり」
「ただいま」
「ひーちゃん,ただいま」
由宇はにこにこしながら
陽和と朔を交互に見る。
「どうしたの?
由宇ちゃん?」
「ううん。
僕,もう眠くなったから
先に寝るね」
「ああ…うん」
そういうと,
由宇は,今までで一番
幸せそうな顔で,
布団に入った。
ロフトに布団を敷いて,
3人で眠る。
由宇は,気を使って…なのか
ロフトに一番端の方で
眠っていた。
その幸せそうな笑顔を見ながら
朔も幸せそうに頭を撫でた。
「由宇ちゃん,よっぽど
楽しかったのね。
ホントに幸せそう」
陽和はそう解釈していたが,
朔は,由宇の笑顔の理由は
別のところにあることを
わかっていた。
「陽和…星が…
きれいだな」
横になると,
天窓からはきれいな
星空がまた見えた。
「ホント…」
「陽和,今日さ,
何の日か知ってる?」
「え…何かの
記念日だったっけ…?」
陽和は不思議そうな声で
そうつぶやいた。
「今日は…冬至…
くらいしか思いつかない…
何…だったっけ…?」
「そう。今日は冬至」
「…う…うん」
陽和は怪訝な声で
朔の方をちらりと見る。
「でも,特別な冬至」
「特別?」
「ああ…
今日はさ,
『朔旦冬至』なんだ」
「さくたんとうじ?」
「ああ」
朔は,やわらかく微笑んで
陽和の方を向く。
「朔は,俺の字の『朔』で
旦は元旦の旦」
「…うん」
「朔ってさ,新月っていう意味。
だから,今日は,星が
一番きれいに見える」
「ああ…なるほど。
そうだったんだ。」
「ああ…だけどさ…
それだけじゃないんだ」
朔の優しい声に
陽和は,朔の方を向く。
見つめあう二人には
暖かい不思議な空気が纏う。
「朔旦冬至っていうのは,
新月と,冬至が重なる日。
太陽が復活する日と
月が復活する日が重なるのは,
19年に一度しか
ないんだって」
「19年に1度…」
「ああ。太陽と月って…
俺たちみたいだろ。
それに…19年前…
…俺は…陽和に…
恋をした」
「…朔ちゃん…」
陽和は不思議と
涙が頬を
伝っていくのを感じた。
「今日しかないって,
そう思ったんだ。
陽和に…
どうしても,今日,
言いたいことがある」
「…朔…ちゃん…?」
朔と陽和は,,
お互いに対面で
座り直した。
陽和の心臓は,
今にも飛び出して
しまいそうなほど
高鳴っていた。
月夜に映される
朔の顔が…
輝いて見える。
朔は…陽和以上に
緊張していて…
手が…震えていた。
それでも…
全てのエネルギーをつぎ込んでも
陽和に…伝えたい
…強い思いが…
…朔にはあった。
「陽和…。
これまで…
ホントにありがとう」
「朔ちゃん?」
「俺と出会ってくれてありがとう。
子どものころさ,
陽和がいるから,毎日が
楽しかった。ありがとう。
それに…あのころ
傷つけてしまったこと…
ホントに…悪かった…」
陽和は首を横に振る。
陽和の頬は涙で濡れていた。
「そして…
大人になってから…
また…出会ってくれて
ありがとう。
俺の…彼女になってくれて
ありがとう。
由宇のことも…
大切にしてくれてありがとう」
陽和は涙ぐみながら
朔の言葉を聞き続ける。
「俺のこと…
好きになってくれて
ありがとう」
そういう朔の声も…
涙声になっていた。
「うーん…やっぱ俺…
陽和の顔見てたら
泣いちゃう…かもしれない」
「え…?」
「ここに来て…」
朔は,初めての夜と
同じように陽和を
自分の足の間に挟んで
後ろから抱きしめた。
「初めての夜と
同じだ…」
朔はクスクスと笑った。
「陽和,あのとき,
緊張してたな」
「朔ちゃんだって…」
「ああ…してた…
ものすごく…」
朔はまたクスッと笑った。
「でも…今の方が
もっと緊張してる」
「え…?」
「陽和…大好きだ」
「朔ちゃん…」
「陽和…
…もう俺の彼女…
卒業してくれないか?」
「え…?」
陽和は意味が分からずに
頭を混乱させる…。
だけど,朔はすぐに
言葉をつないだ。
「俺の…奥さんになって
くれませんか?」
「え…?」
「由宇と…俺と,
3人で,家族になって…
…くれませんか?」
また,朔は涙声で
陽和を強く抱きしめながら
そう言った。
陽和は…
涙を流しながら
後ろを振り返る。
朔の目に光る涙を
見つけて,そっと
親指で涙をぬぐう。
「朔ちゃん…
子どものころ,
泣いている私に,
こうしてくれた…よね?」
「ああ…」
「私も…子どものころから
ずっと…
…朔ちゃんにこういって
もらえること
…心のどこかで
待っていたのかもしれない」
「陽和…?」
「…よろしく…
…お願いします。
私でよければ…
朔ちゃんと
由宇ちゃんの家族に
入れてください…」
そう陽和が言うと,
朔は陽和をギュッと
強く抱きしめた。
「ありがと…陽和…」
そういうと,
朔はポケットから
小さな箱を取り出した。
「朔ちゃん?」
「ごめん…
実はさ…昨日…
これを取りに行ってた…
嘘ついてごめんな」
朔は済まなさそうに
そういう。
「え…朔ちゃん?」
「…ごめんな,
俺,何もスマートに
できないんだ…
だけど…呆れないで
…一緒にいてくれる?」
そう言いながら,朔は
箱から取り出した指輪を
そっと,陽和の
左手の薬指にはめた。
「…ありがとう…」
陽和はお返しに,
朔に口づける。
朔は強く強く陽和を
抱きしめる。
「ずっとずっと…
そばにいて…
俺と…由宇と…
3人で…
幸せになろう…」
陽和は何度も
頷きながら…
幸せをかみしめていた。
