「ねえ、理香。入る?」


寝かけていた私に声をかけてきたのは
今年から仲良くなった志保(しほ)だった


寝ぼけていたせいか、志保の質問の意味がわからなかった


「入る?どこに?」


志保は呆れたような顔をして、手に持っていたカバンを私の顔にぶつけた


「次体育でしょ。しかもプール」


そうだ、次は体育だったっけ
「忘れてた」と呟いてから、質問の答えを返した


「入るよ」


昔から泳ぐのは好きだ
水に入れば上下左右自由に動けるし、冷たくて気持ちいい
それに、水に入った時の音や景色はとても好きだった


「じゃあ私も入るね。ほら、いこ」


そう言って、志保はもう片方の手に持っていた私のプールバッグを渡してきた
私のロッカーからわざわざ持ってきてくれたのだ


「大好き」


「知ってる」


いつもながらの馬鹿げた会話をしながら
私たちは更衣室へと向かった