暑い


もうすぐセミが鳴き始める季節


まだ受験生という自覚がない私、槙野理香(まきのりか)は
2時間目という微妙に眠い時間帯に
机に肘を立てて、うたた寝をしていた




二階の教室の一番後ろの窓側


綺麗に整えられた中庭がよく見渡せて
ほどよく風が通る
そう、今月の席替えはとても運が良かったのだ


おかげで寝ているのがあまり見つからないで済んでいた


中庭は、最近置かれたチューリップの植木鉢がたくさんあって
とてもカラフルになっている


いつも授業が暇な時は、中庭を見るのだが
さすがに飽きてしまっていた


そろそろノートを写そう
睡魔と戦いながらも嫌々ノートを開いた


前を見ると、もう黒板が半分以上
文字で埋め尽くされている


私はノートを写す前に時計を確認した
時間が少なければ、後で友達に写させてもらおうと思ったからだ


ところが、まだあと35分間も授業をいけなければいけないという事実を目の当たりにし
ノートを写すのと、睡魔と戦うのをやめた