電車のスピードが遅くなり、窓の外を見ると流れる景色がどんどんスローモーションになっていく。


そろそろ私の最寄り駅に到着してしまうようだ。


いつもは早く着けばいいのにとさえ思っている電車の到着が、何だか今日はあっと言う間に感じられた。


もう少しだけ、一緒にいたかったな。


なんて思ってしまう。


「じゃあ、先生、私ここなんで」


「ん。気をつけてな」


そう言って手をあげる先生に軽く会釈し、電車を下りた。


私が下りるとすぐに扉が閉まり電車がまたゆっくりと動き始める。


モーター音が高く、大きくなっていく。


いつもなら降りた後の電車になんて振り向くことはないのに。


今日は電車が見えなくなるまでずっと見つめ続けていた。


手をそっと頬にあてる。


すると、


自分の顔が熱く火照っているのがわかった。