恋愛ケータイ小説倶楽部

発車のベルがジリリリと鳴り、電車がゆっくりと動き始める。


ガタンゴトンと電車が不規則な音をたてながら進んでいく。


席は空いていたけれど、先生は座ろうとしなかったので、私もそれに合わせてドアの付近に立っていた。


「椎名はさ、本はあまり読まないの?」


先生は唐突に脈絡があるようなないような質問をしてきた。


「ケータイ小説はよく読んでいますけど、普通の小説や本はあまり読んだことがないです」


「なるほどな〜。だからあの『会話文』」


「うゔ…」


「あれだけで文章を成立させるなんてある意味天才だけどな」


「そ、それはもう言わないでくださいッッ!!」


私は顔を赤らめながら頬を膨らませた。


「ははは。『地の文』を書くためにはいろいろと本を読んだ方がためにはなると思うよ」


「………じゃあ、先生のオススメの本はなんですか?」


「オススメか。そう言われると絞れないな」


先生は顎に手をあて、少し考えているのか間を少し空けた後に再び言葉を続けた。