恋愛ケータイ小説倶楽部

私たちは駅の改札を出て、そのまま学校へと一緒に足を運ぶことになった。


長谷川くんとは、喋ったことなんてこの短時間で考えてもやっぱりなかった気がする、って思ったりして。


妙な緊張感が二人の間に漂った。


な、何か喋んないと……!


私は勇気を出して、長谷川くんに話しかけた。


「長谷川くんって電車通なんだね」


もっと気が利いたこと言えるだろ!


とツッコミたくなるくらいにしょうもないことしか言えない私。


こんなだから彼氏が今まで一度もできたことないのかな……


「うん、そうだよ」


こんなつまらない質問にも特上の笑顔で答えてくれる長谷川くんに少し胸がキュンとする。


どこから電車に乗っているか聞くと私よりも一駅遠くから電車に乗っているようだった。


「椎名も朝いつもあの電車に乗ってるよね?」


初めて長谷川くんの口から自分の名前が呼ばれて、少し胸が高鳴った。


「あ、うん。そうだよ。って気づいてた?」


「うん。前から知ってたよ。俺も部活の朝練ない時いっつもあの電車だから」