恋愛ケータイ小説倶楽部

おばあさんを見送るとホームには人がほとんどいなくなっていた。


「手伝ってくれてありがとう」


私は長谷川くんにお礼を言った。


隣の席といえど接点なんて今まで全然なくてこんな風に口を聞いたのは初めてかもしれない。


「いや、いいよ」


そう言いながら爽やかな笑顔を見せる長谷川くん。



現実世界にこんなに素敵な王子様のような人がいるなんて……



世の中も捨てたもんじゃないなって思った。


……ってこんなことしてる場合じゃないよね。


私は急いで腕時計で時間を確認する。


うん。まだ間に合う。


「あ、よかったら」


私は腕時計から目の前にいる長谷川くんに視線を移す。


「学校まで一緒に行かない?」


「……え?」


「ほら。隣の席だし、どうせ同じとこに行くんだからさ」


「あ、うん……」