「……ってそんな真剣な目で見んなよ」


私は思ったよりも先生を凝視していたようで。


先生は私から目線を逸らした。


それでも本当のことを知りたかった私は、先生の瞳をじっと見つめていた。


「……昔付き合ってた」


「え…」


「椎名が知りたがってたこと。俺と古賀先生は昔付き合ってた」


「昔……ですか?」


「そ。もともと古賀先生とは大学が一緒なんだ。それは学生時代の話。今はもう付き合ってないよ」


2人に何かあるとは思っていたけれど、やっぱり私の勘は当たっていたんだ。


「どうして別れてしまったんですか?」


「ん。まぁ大人の事情ってやつ」


大人の事情って…?


「大人の事情って何ですか?」


「ん〜、まぁ大人にはいろいろあるってこと。もういいだろ?」