「みきちゃん、こんなところで何やってるんですかー?」


「私?今日は球技大会だからね。ケガ人がたくさん出るかとおもって、こうやってスタンバイしてるわけ」


そう言って掲げた右手には救急箱があった。


「先生も大変ですね」


「ま、これが仕事だからね〜」


そんな会話をしていると


「古賀先生、ヘルプ〜」


なんて大声が早速聞こえてきた。


声のした方向に視線をやると、なにやら隣のコートでバレーの試合をしていた下級生が転けてしまったみたいで、ショートカットの女の子が痛そうに足を抱えていた。


「ほら、あんなふうにね。じゃあまたね」


そう言って、古賀先生は「大丈夫〜?」なんて言いながら、バタバタと駆けて行った。