「って椎名、聞いてる?」


またまた先生の声にハッとする。


また意識が明後日の方に行っていた。


ダメダメ。


小説だけはちゃんと書くって決めたんだ。


私はこれ以上余計か考えをしないように頭を軽く横に揺らした。


「すみません……何ですか?」


「……あのさ、ここの夜景を見に行く部分なんだけど……ここってもしかしてこの学校の裏にある丘のところをモデルにしてる?」


「あ……」


それはまさに先生の指摘したとおりだった。


学校の裏にある丘はカップルが集まるちょっとしたスポットになっていた。


理由はそこから見下ろす街の夜景はとても綺麗だということで巷では人気になっていた。


恵梨香が大学生の彼氏に連れてってもらって綺麗だったと自慢していたのを聞いて、それからエピソードを考えたのだった


「そうです」


「ふーん。……ここ行ったことある?」


「え、いや、ないです」


もちろん彼氏のいない歴=年齢の私にとっては正直無縁なところで実際に訪れたことはなかった。


その部分は自分の想像力だけで書き上げていた。