「……私、用事思い出したから、ここで帰るね」


「あ、椎名……」


もちろん用事なんて嘘。


その場に居た堪れなくて、長谷川くんの言葉を振り切り、私は駆け出した。


その道の先に何があるのかなんて


ーーー私には分からない。





「好きな人に好きな人がいても抑えられない気持ち……?そんなん痛いほど分かってるに決まってんじゃん……」


長谷川くんが一人そう呟いていたのなんて、知る由もなかった。





第九章 1/3の純情な恋愛感情 -完-