「あぁ、これはこうやって……」


そう言いながら、先生が距離を縮めてくる。


さっきの長谷川くんと同じような距離感なんだけど。


先生の吸い込まれそうな黒目がちの目。

そして、サラサラな髪が私の肌に触れそうで、まるで体中が心臓になったみたいにそこかしこがドクドクと脈を打って、


もうこれ以上は………心臓が持たないっ………!


ーーーガタッ


「えっ……理沙、どした?いきなり立ち上がって……?」


私が急に立ち上がったことですぐ側にいた沙也加が目を見開く。

先生を始め他のみんなも吃驚した表情で私を見つめていた。


「あ、とっトイレ……行ってくる」


私はそう言い残し慌てて、教室を出ていった。


別に急な尿意に襲われたわけじゃなくて、ただ………