その後、芹沢くんと話すことはなかった
クラスが同じになることもなく、卒業するまで芹沢くんに対する罪悪感は一度も消えた事はなかったけれど、そんなものも消し飛ぶ噂があった
芹沢くんには、中学生の頃から付き合っている彼女がいて、その彼女の束縛が凄くて、友達を作ることも出来ず、学校が終わるとすぐに彼女に会いに行っているというものだった
誰かが街で二人を見かけたらしく、その彼女はとても美人だったそうで、そのせいか、成長した芹沢くんが格好良くなったせいか、三年生の頃には芹沢くんはちょっとした人気者になっていた
私の罪悪感なんてちっぽけなものだったと思ったのと同時に、その噂を聞いた瞬間、私はいまだかつて感じたことのない虚無感にかられた
あれは、なんだったんだろう
