静まり返った部屋で、私の声がやけに響いた 無駄に緊張してしまっている私は、それ以上気のきいた言葉が出てこない かといって、芹沢くんと絡まっている視線からも目をそらせない 「じゃ」 何か起きるんじゃないか そう、思ってしまったほど そんな長い沈黙のあと。 芹沢くんはそうとだけ言うと立ち上がり、もう私のほうを見ることもないまま床に置いてあったポーターのバッグを手にした 「あ、あの」 「帰る?」 「え?」 「俺、施錠するから」 「あ、ああ、うん」