また、だ。 胸の奥がカサカサと渇いた何かが蠢くような、そんな何かを感じる それは昔から変わらない芹沢くんに対する痛々しい思い出とともに私の身体をチクリと刺す 言葉とは連携せずに、無表情のまま芹沢くんは書類を手にして自分の席に戻る 早退しようと、欠勤しようと、一度出社すれば芹沢くんは神業のように業務を素早くこなし、電話ではなめらかな口調で取引先とのやり取りをしている 彼が特別枠なのは、このスマートすぎる仕事ぶりをきちんと評価してくれる社長が会社を経営しているからでもある