無口な彼の、ヒミツと本心

翌日。


オフィスに入ってすぐに芹沢くんの姿が目にはいって一安心する。



私のデスクの真後ろに芹沢くんの席がある。

振り返れば芹沢くんの背中が見える




高校生のころ、ずっと眺めていたその後ろ姿は、いつの間にか背幅が広くなって逞しくなっている


その姿を見るたび不思議な気持ちになる


こうして今も変わらず存在している芹沢くんに。




「おはようございます」


私はそう言って席につくと、昨日次長が丸めて跡をつけた書類を見つけてそれを手に取った


次長、手伝うフリだけしてしっかり置いてったまんまじゃん。


あーもう、と椅子をひいて座り込んだ瞬間、私の手からその書類がスッと消えた



「あ、これ探してたんだ」


そう聞こえた声は、芹沢くんのものだった


「そ、それ」

「これ、やってくれたの?」

「や、まだ…」

「そか、ありがとう」