恋する時間を私に下さい

呆れ返ったスグルさんが、吐き捨てるように言い放った。
ポケットの中に入ってるキーホルダーが、チャラチャラ音を立てながら離れてく。
その彼に向かって、アラシさんとトドロキさんは、「待てよ!」と大きく叫んだ。



「…うるさいぞ!」

野太い声がして皆が黙った。
同じ階に住む人が怒鳴ったのかと思ったら……


「加藤さん!」

驚いたような声をスグルさんが出しました。
それを聞いてセイジさんが離れる。
アラシさんとトドロキさんはエレベーターの方を向いて、大きな声を張り上げた。


「…レイさんは⁉︎ 」
「見つかったんですか⁉︎ 」

泣くのを止めて振り返った。
歩き去ろうとしてたスグルさんの向かい側に、髪が放射状に広がった、ぺったんこ頭の男性が立ってました。

「まだだ…」

一言話すと、その人は皆の方に近寄ってきた。

白いワイシャツに紺のネクタイ。
左腕にスーツの上着を引っ掛けて、駅徒歩15分の距離をよほど急いできたのか、ダラダラと大量の汗をかいてます。


「……コウヤは?」

四人の顔を見て、私と同じことを聞きました。
最初にいた三人は、私やスグルさんに言ったことと、同じことを繰り返した。

「他の人のアシやってるそうです」
「だから、こっちに来れないって…」

アラシさんとトドロキさんの言葉に合わせ、セイジさんが頷く。
それを聞いて、加藤さんという人がすごく不思議がった。

「……変だな。そんな筈はないと思うが……」