恋する時間を私に下さい

「ねぇ、リリィちゃん、落ち着いて聞いて欲しんだけど……」

声が深刻になった。
嫌な予感が的中しそうで、ぎゅっ…と電話を握りしめた。

「何…?」

(病気…?ケガ…?入院……?)

ずっと無理してきた礼生さんの顔を思い浮かべた。
その瞬間、何があっても看病だけはしよう…と、心に決めた。
でも、聞いた言葉はーーーー



「レイさんが……いなくなった……」

「……………」


ーーーー唖然として立ち竦んだ。

昨日の彼の様子を思い出して、取り乱したのは当然だった。


「……私のせいだ…」

ぽろり…と口から出た。

「えっ…?」
「私が……礼生さんを拒否ったから……」

拒否っただけじゃない。
私は二度とあの部屋に行かないって言った。
図書館もやめてしまって、完全に礼生さんから離れる態度を示した。


……あんなに疲れきった顔してたのに……
苦しそうな顔つきで、助けを求めてたのに……


「…どうしよう…トドロキさん……私のせいです…!」


理由も聞かず、突き飛ばした。
叫ぶように名前を呼んでたのに、振り返りもしなかった。

本気で何かしようという感じには思えなかったのに…。
すんでのところで我に返って、手を緩めてくれたのに……。

ガクガク…と膝の力が抜けてしゃがみ込んだ。

「どうしよう…どうしよう…」と繰り返す私の耳に響くのは、「もしもし…!」と繰り返し呼ぶトドロキさん声じゃなく、『リリィ…!』と泣き叫ぶような、礼生さんの声……だったーーーー。