「だから、今日言われたこと気にしなくてもいいよ!アレがいつもの緒方さん節だから!」
「口悪い、言葉ヒドい、おまけに怒鳴る!今日は三拍子揃ってたな!」
「スランプだからな…今の緒方さんは…」

アラシさんの言葉に思い返した。
さっきの礼生さんの様子は、確かに変だった。
やけに雰囲気が暗くて、心の奥から真っ黒いものを吐き出そうとして…

ベッドに押し倒されて、怖くて思わず叫んでしまったけど……


「私……取り返しのつかないこと…言ってしまったかもしれない……」

逆上して思わず言ってしまった。


『図書館やめる…』ってーーーー



見境なく吐き出した自分の言葉に恐ろしくなった。

あの人の部屋を出る時、かすかに叫んでる気がしたのに……。


(『リリィ……!』って、呼んでたみたいだったのに…)

聞こえないフリして逃げてしまった。
後にも先にも、あの時以来だったのに……



ペタン…と床に座り込んだ。

礼生さんに握られた手首が赤くなってる。
近づいてきた顔が怖くて、ぎゅっと目を閉じてしまった。

動悸が速くてどうにかなりそうで…
ビクついて、逃れたくて…


「とんでもないこと…言っちゃった……」

混乱状態で喋った言葉を取り消せるなら、今すぐ礼生さんの所に戻って、なかったことにして下さい…と言わないと。

でも…


(ヤダ……怖い……)

あんな形で触れられたことが恐ろしかった。
好きだと分かった人に、あんな荒々しくされて。
怖くて…仕方なくて……