怒鳴り続けるヤツの言葉を聞きながら、(身内には優しいんだな…)と感じてた。

寝不足な俺を心配そうに見てた瞳は、これとはまた別の感情なんだろうな…と思うと、歯痒くなった。



「…うるせぇな…」

呟く声は、いつもに増してドスが効いてた。
ビクついたヤツが押し黙る。
そのヤツに近づいて、俺は手を伸ばした。

「…俺の都合で何が悪い!ここは俺の部屋だろ!!お前も妹も勝手に入ってきやがって、ウザいんだよ!!」

ぎゅっと手首を握ると、微かに震えてた。
強張った女の顔が、少しだけ恐怖の色を浮かべてる。
人格の違う自分がその場にいるような気がして、急にムラムラしたのは確かだった。


「…来いっ!」

腕を引っ張って連れてった。
俺の部屋は角部屋で、仕事する部屋以外にも、もう一つ部屋がある。
そこは俺の寝室で、アシ達の仮眠部屋にもなってる場所だ。


無理矢理引っ張り込んだヤツをベッドに押し倒した。
ムラムラとした感情が、俺を勝手に動かしてたようにも思う。
いきなり倒れされたヤツは驚いて、声も出ない様子で俺の顔を見つめてた。

「…いいか、これは俺が悪いんじゃない!許可もなく人の部屋に入ってきた、お前が悪いんだっ!」

捨て台詞を残して顔を近づけた。
見開いてた小さな目が、ぎゅっと固く閉じられて…

赤い唇の中から、吐息のようなものが漏れたかと思ったら……



「…もう……イヤです…」

小さな声が聞こえた。
顔を寄せるのをやめた俺に向かって、ヤツはハッキリ声に出した。