「…ルナちゃん、今夜、何作ってくれる?」

アラシがニコニコしながら聞いてる。
一瞬、妹の顔が固まった。

「ええ〜と…何にします〜?…緒方さんが食べたいものにしましょ〜?」

作れもしないふうなのに、それを言うのか。

(だったら…)


「ラーメン」

「えっ⁉︎ 」

「ラーメンが食いたい。濃厚な豚骨味のやつ」
「………」

(ふふん!どんなもんだい。さすがに姉に頼る訳にいかねーだろ)

冗談半分。あいつを使わせたくない気持ちもあって言ってみた。

困ったような顔してる。
少し考えるように目を泳がせて、それからパッと表情を明るくした。

「分かりました!ラーメンですね!任しといて下さい!得意なんです!!」

ポン!と胸を叩いた。
買い物へ行くと言って、意気揚々出かけて行った。


(…まさか…本当に作れるのか?)

どう見ても料理できなさそうに思えた。
だから無理難題を言ってみただけなのに。



……嬉しそうに帰ってきた妹は、鼻歌まじりでラーメンを作り始めた。
『鶴の恩返し』みたいに、キッチンに続くドアを閉めきって。

「できましたよ〜!」

作り始めて10分足らず。
トレイに三人分のドンブリみたいなモノを乗せて入ってきた。
一体どんなのだ…と、立ち上がって寄ってみると……



「プッ…!」

思わず吹き出した。

「アッハハハ…!」

やべぇ。つい大声で笑っちまう。

「レイさん!」
「マズいっすよ!」

アラシとトドロキが慌てて取りなそうとする。
でも、こっちは笑いが止まらなくて……