(俺は美人よりも面白い人間の方が好きなんだよ…!)

見てて飽きねぇ。そういう奴の方が、常に新しい発見がある。

(あいつみたいにな……)

カウンターの中で笑う女の顔を眺めた。
くるくる変わる表情を見ながら、あんなのがずっと側にいたらな…と思う。

胸が熱くなる。
そんな時間を手に入れたと思ってた。

……でも、それは長くは続かなかった。



閉館して部屋に帰ると、アラシ達が既にドアの外で待ってた。

「今日もルナちゃん来るって言ってましたよ!」

嬉々としてやがる。
こいつは浪人生のくせに、なんでこうもウチに入り浸たがるんだ。

「アラシはルナちゃんみたいのが好みなんだろ〜、昨日ドア開けた瞬間、『君ダレ! 』ってスゲぇ大きな声出してたもんな〜」

ケラケラと笑うトドロキ。
そもそもこいつが妹のことを知ってたから厄介だった。
前日の合コンで知り合った…とか言って、部屋の中に引っ張り込んだんだ。

「オレが知り合いで良かったな〜アラシ〜!」

トドロキがからかってる。
こっちは大迷惑してんのに。

「今夜は何作ってくれんのかな〜?」

二人して想像してやがる。
昨夜のシチューを作ったのは、妹だと思ってるんだろうが……


(アホか。あいつに決まってるじゃねぇか…)

美味かっただろ。その時点で気づいてやれよ。
手料理を何度も食べてきてるくせに、そんなコトも分らねぇのか、こいつらは。