恋する時間を私に下さい

「…いいから、とっととめし!作りやがれっ…!!」

「はっ…はいぃぃ!!」

戦闘シーンでも、別れのシーンでもない……脅迫シーンでした。


パッと手を離しました。
おかげで緒方さんは、後頭部を床でひどく打ちつけました。

ゴツッ。

痛そうな音がしたけど、そんなの気にしてられません。
とにかく何か作らないと、この場から離してもらえそうにありません。



「キッチン、お借りします!!」

立ち上がって、キッチンに駆け込んだ。
大きな冷蔵庫が、ダイニング側の床に鎮座してます。

ドアは全部で7つ。
こげ茶色で重みもあります。

でも…



「な……何もない……」

冷蔵室はカラ。
チルド室もカラ。

野菜室には腐りかけのトマトが1個。
冷凍室には炒飯の袋が入ってたけど、中身は残り少なくて。


「これで一体…何を作れと…?」

勝手知らない他人のキッチン。
でも、作らないと後が怖い。


「すいません、勝手に棚開けます!」


流し台に作られたシステムキッチンの引き出しや棚。
全部開けて出てきたものは…


パスタの麺が一袋。ふりかけ。コーンスープの素。
レトルトご飯2パック、カレールゥ。
…以上終わり。


「これで一体、何作るの…?」

自分に聞く。

料理は嫌いじゃない。
でも、この食材の無さには呆れる。


(…緒方さん…あなたって人は、これまで一体、何を食べてきたんですか⁉︎ )