(バカだな…私…もう作らなくていいんだって……)

お役御免になったの…と言い聞かせながらスーパーを出る。
まっすぐ帰ればルナに泊めて…と言われそうな気がして、少し寄り道してみた。

本屋へ行って、コンビニに寄ったら、丁度1時間位が経ってた。

(そろそろいいか……)

ゆっくり歩きながら、徒歩15分の道を進む。


ーーーカサカサ…とビニール袋の音を立てながら自分と彼が住んでるマンションへ向かう。

遠くに見える10階建ての8階部分。
右の角部屋が緒方さんのとこ。
隣が私……


(目と鼻くらい、近い場所に住んでるのに……)

職場も同じなのに…
彼の素顔も知ってるのに…

世界で一番遠い人みたいに思える。

1人だけの時間は私にとって、いつの間にか考える時間になってしまったみたいに、グルグル…と彼のことばかり思ってる。

他の事は考えれない。
胸の中が『きゅんきゅん…』して、子犬の鳴き声ばかり響いてて……。


(どうしようもないな……ホントに…お人好し……)

呆れながら、部屋へ向かった。

それが『恋する時間』なんだって知ったのは、もう少し後になってからのことーーーーー