「今の叫びは何だ⁉︎ 」
「…あ、あれは…ルナが驚いて…私の手に…お湯がかかったので……」
「お湯!?」

緒方さんの視線が私の手元を見る。
真っ赤に腫れてる指先に気づき、大声を出した。

「バカ!早く冷やせっ!!」

手首を引っ張って走る。
引っ越しの時と同じ、荒っぽくて力強かった。

ザァザァ…と水が流れる中に、指先を突っ込まれました。


「…痛むか?」

隣に立ったまま、真剣な眼差しで指を見てます。

(今夜はゆっくり眠ってた筈なのに、ルナの声を聞いて、様子を見に来てくれたんだ…)

「…少し…こうして水に浸けてるとラクですけど…」

空気に触れると痛みが出る…何かの本で読んだ通り。
今はまさに、その状態。

「…薬とかあるのか?」

指先を見てた目がこっちを向きました。
ドキッとして身構えた。
髪の隙間から見えた眼差しが、心配そうだったから。

「あ…あると思います…一応、常備薬買ってるので…」
「どこにあるんだ!」
「えっ⁉︎ あの…クローゼットの中に…」

オドオドする必要もないのに、ついビクついてしまう。
緒方さんの声が怒ってるみたいに聞こえて…。

「ちょっと…あんた!」
「は…はいっ!」

キッチンに戻ってきたルナを呼び止めました。

「薬箱出して!クローゼットの中だって!」
「は…はいっ!」

さっきの今で、ルナが慌てる。ムリもない。
ほぼ、ルナの責任だもん。