「大丈夫、怖い人じゃないから。多分…隣の人だから…」
「隣!? なんで隣の人が怒鳴って来るの…!?」
「それは…ルナが大声で叫んだからでしょ⁉︎ 早く出て!近所迷惑だから‼︎ 」

夜中の1時近く。
これ以上騒がしてたら、それこそ警察沙汰になってしまう。

ルナは渋々玄関に出て行った。
ドンドンとドアを叩いてる人に向かって、「今、開けます!!」と怒鳴った。

(…自分が蒔いた種なのに、逆ギレもいいとこ…)

チャリ…カチャン…

チェーンキーを外して、ロックを解除する音が聞こえた。
その途端……


「キャア!!」

ルナの声がして、しーん…となった。
訳が分からなくて水を止め、様子を見に走った。

指先はジンジン痛んでる。
それでもやっぱり、妹は気になる。

「…ルナ⁉︎ どうしたの…⁉︎ 」

声をかけながら覗いて……固まってしまったーーーー




「……あ…あの……」

ルナは、自分を抱きすくめてる相手に声をかけてた。
相手は腕の力を緩めて妹を見る。


「……あんたは?」

驚いた顔してる。

「…と…友坂美月です…」

事態を把握しきれてない様子で、まつ毛をバタつかせるルナに代わって、私が答えました。

「…あの……妹です…」

キッチン側から声をかけられた緒方さんは、私とルナの顔を見比べて……


「……すまん!間違えた…!」

大慌てでルナを解放した。
放された方は、まだ理解できてないような顔してる。
そのルナを放って、緒方さんは私の方に近づいてきました。