(ソットーするような漫画か……ホラーとかかな…?)

子供の頃、友達が読んでたホラー漫画の雑誌を思い浮かべた。
あまり真剣に見なかったけど、確かにゾッとするページが幾つかあった。

(…あんなの描いてるのかな…)

ボンヤリと考えてると、ルナがキッチンにやって来ました。

「…お姉ちゃん…?」

声をかけられたのに全く聞こえてなかったみたい。
ルナは悪気もなく、ポンッ!と背中を押した。

「…お姉ちゃんってば!!」
「きゃっ!!」

ビクついた拍子に、手が電気ポットにあたり、ガタン!…とシンク内にひっくり返してしまった。

「…熱っ!」


湧きたてのお湯が見事にかかり、左手の指先が真っ赤に腫れ上がった。


「キャアアア!!」

ルナの大声は、深夜の部屋中に響き渡った。
それは当然、隣にも聞こえたらしく…


………ドンドンドン!!

大きな音でドアが叩かれるのと一緒に、インターホンの連打が聞こえてきた。

「開けろっ!」

怒鳴り声までする。


「お…お姉ちゃん…」

青ざめたルナが震えてる。
こっちはそれ所じゃない。
早く冷やさないと、大変なことになる。

「開けろ!こらっ!!」

叫ぶ声も、どんどん大きくなってる…。

(仕方ないな…もう…)

「……ルナ…ドア開けて…」

…そう頼んだ。

「…イ、イヤよ…!」

怖さの余り、ルナは大きく首を横に振った。