築15年。駅徒歩15分。
10階建てのワンルームマンションの8階部分。
7.5帖の部屋とダイニングキッチン付き。

1DKのお城に住んでる私の名前は、『友坂 百合(ともさか りりい)』
25歳、女性です。

仕事は図書館司書。
小さな私立の図書館で、ひっそり本を貸し出してます。
趣味は読書。
つまらない女でしょ?


お城…と言うには極狭なマンションに一人暮らしを始めて3ヶ月。
時々、妹が遊びにやって来ます。

部屋には、大学時代から使ってるデスクが一つ、部屋の窓際に置いてあります。
シングルベッドはその反対側の壁に横付けしてる。
パソコン用のミニテーブルはベッドの側。
テレビ台はデスクの左。その上に小さなテレビ。

クローゼットはキッチンから部屋に入ってすぐの右側。
たったの半間しかありません。
だから、服はワンシーズンのみ。
後は実家へ置いたまま。
新しいタンスを買えるまで、その生活を続けるつもりです。

床は一応フローリングで、キレイなクリーム色してる。
壁は優しいピンク色で、柱は白く塗られてる。

パッと見、ロマンチックで甘々な雰囲気が気に入って、ソッコー契約したんだけど…
住みだしてスグに、(しまった…)と思いました。

隣に住んでるのが、同じ図書館に勤めてる館長の緒方(おがた)さんだったから。
引っ越しのご挨拶に…と、タオルとミニボディソープのセットを持って伺った時のことーーーー



「…入れ!」


「はっ……⁉︎ 」

いきなりの命令口調に驚いた。

「…いいから!…中に入れっ!!」

腕を引っ張られて上がり込み、靴を脱ぎ捨てて、廊下を勢いよく走り抜け、ダイニングに続くドアを開けた瞬間……