でも、ある日、高校時代の先輩にバッタリ出会って…


「リリィちゃん知ってる?『OーGATA図書館』が、司書を募集してるのよ⁉︎ 」

…そう教えられた。

「…えっ⁉︎ …あの図書館が…⁉︎ 」

古いレトロな看板が頭に浮かんだ。
重いドアの向こう側に広がる本の世界が、私の心の中に、風を送り込んできたような気がした。

瞼をバタつかせてる私を見て、先輩は笑いだした。

「リリィちゃん、あの図書館で働いたら⁉︎ 館長は替わってるけど、今でもあの雰囲気のままよ」

大好きだったでしょ…と、背中を押された。
司書の免許は取れる予定で、幾つかの図書館にも履歴書を送ってるとこだった。


(行かなきゃ…!)


ナゼかそう思った。
頼三さんとの思い出が溢れるあの場所で、働かなきゃ…!と思った。


…図書館の近くにあるカフェで、履歴書を書いた。
手が震えて、何度も文字が歪みそうになるほど興奮してた。

そして、その履歴書を持って、『OーGATA図書館』へ向かった。
初代館長のお孫さんは、私のことなどすっかり忘れてたけど……


「本が大好きで、ここの図書館には、高校時代から通わせて頂いてました。いつか本に囲まれて仕事がしたい…と願って、大学で司書の免許も取得しました」

まだ予定ですけど、大丈夫です…と付け加えて話した。
二代目館長さんは、私が書いた履歴書をの文字を、じ…と黙って眺めて見てた。