「…だって、お姉ちゃんとレイさんって結婚するんでしょ⁉︎ だったらいいじゃん、同棲したって…」
「ど…同棲⁉︎ 」

大きな声で叫んだ後、お姉ちゃんは急に口をつぐんだ。
どうやら、スーパーに買い物に来てたことをすっかり忘れてたらしい。

「……と…とにかく、今はマズいから…また後で電話する。お母さん達には無事マンションに帰り着いたって言っといて!」
「…はいはい。分かってるってま〜す!じゃ〜ね!」


ーーー電話のが切れた後、奥手なお姉ちゃんに、レイさんがどんなふうに迫るんだろうか…って気になった。
漫画の世界で言うようなキザなセリフ回しとかもあるのかな…と、一人で想像してたんだけど……



「…変わんない?…何も…?」
「うん……何も…」

本を片手にしたお姉ちゃんの視線がこっちを向いた。
合コンの帰り、いつものようにお姉ちゃんトコへ押しかけた時ーーー

インターホンを押すと、お姉ちゃんはいつもの調子で現れた。
玄関に入るや否や、私に向かって、「また合コン⁉︎ 」と呆れるような顔をした。

「…今夜はレイさん、修羅場明けだって言ってたよね⁉︎ 部屋にお泊まりとか…ないの⁉︎ 」
「うん……ないよ」

落ち着き払って答える。
あまりの素っ気なさに、思わず確かめた。

「…お姉ちゃん達って……付き合ってるんだよね⁉︎ 」

あの病室の雰囲気は、そんな感じだった。
私の問いかけにギョッっとしながらも、お姉ちゃんは戸惑うように頷いた。

「う…うん……多分……」

レイさんの部屋には行くし、お料理やお掃除も任されてるし…って……

「……それ、今までと変わらないじゃん…」