ギクッとして振り向くと、寝起きの礼生さんが立ってた。

「ここは第二の『OーGATA図書館』だ…」

私の呟きに答えるように声を発した。
それから真っ直ぐに私を振り向かせ、顔を見下ろしました。



「お前……夢じゃないよな……?」

信じられないような目をして、何度も瞬きを繰り返した。

「夢じゃないですよ。礼生さん…」

肩を触れる手を触って答えた。

「本当に、本物だよな……?」

まだ信じられないでいるみたい。
寝ぼけてるせいなのか、実感のない彼を、ぎゅっと抱きしめた。

「本物よ…」

ほらほら…と、頭を擦り付ける。
礼生さんは私の短くなった髪を撫で、確かめるように背中を抱いた。



「リリィ……」

感極まったらしく、泣き声になった。

覚悟を決めて入ったのに…、少し拍子抜けしてしまった。


「リリィ…リリィ……」


名前を呼びながら、腕に力が込められてく。
切なくなると同時に息苦しさも増して、思わずもがいてしまった。

「れ…礼生さん……苦し…!」

絞り出された声に気づいて、腕の力が緩んだ。
パッ…と解放された体が、一気に脱力していく。

呼吸しやすくなって、改めて深呼吸を繰り返しました。

「す…すまん…」

慌て気味に彼が謝った。
頭の上からする声の主を下から見上げる。
寝グセで乱れた前髪の隙間から見える目と目が合って、『きゅぅん…』と胸が鳴いた。


「…………」