恋する時間を私に下さい

それに比べると、今は顔色が幾らかいい。
……何より、表情が柔らかい…。


目の前にいる彼が、健康そうだと分かった。
それが一番、有難いと思った。

礼生さんの顔を眺めてると、視界の端にドアが見えました。
クローゼットにしては、頑丈そうな扉。

真っ黒な木でできた扉は、まるで、そこが秘密の部屋のように感じさせた。

(あーいうのって、興味そそられるよね…)

開かずの間のような雰囲気が漂うドアに近づいた。
寝入ってる人の顔を見るより、この奥がどうなってるのか知りたくなる。

振り返って、礼生さんの姿を確認しました。
起きもしない人のことを呆れるように溜め息をつき、ドアに手をかけた。

引き戸になってるドアを右に開けた。
ガタッ…と音がして、少しビクついた。
扉の奥は真っ暗で、一見、押入れなのかと思ってしまった。

…戸口の左側に、電灯のスイッチがある。
カチッ……と電気を点けて、中の様子に驚いた。




ーー部屋の中は、本で埋め尽くされてた。
見たこともないくらいの冊数に圧倒されて、思わず部屋の前に立ちすくむ。
声も出さずに見つめる先に置かれた本たちは、1階の『OーGATA図書館』のように、山積みされたり平積みされたり。
まるで頼三さんがこの部屋にいて、本を整理してたような気すらしてきました。


「ここは一体……」


自分の声が反響する。
中に入ろうとする私の肩を、ぎゅっと誰かが掴みました。