恋する時間を私に下さい

ドアの中には、こげ茶色の廊下がありました。
両側の壁には薄いクリーム色の壁紙が貼ってあって、左手に『bathroom』『toilet』のプレートが付いたドアが二枚。
右手にはキッチンがあって、パインカラーのシステムキッチンが備え付けられてた。

キョロキョロしながら、廊下の突き当たりにある間仕切りのドアを開けました。
リビングと思われる部屋の床も、廊下と同じ色のフローリング。
壁一面はペパーミントグリーンで、柱と窓の桟は真っ白だった。

越してきて間もない割に、整然としてる部屋の中を不思議な思いで眺めてた。

段ボールも何もない部屋は、以前から住んでるような雰囲気があった。
マンションでは見たこともないソファも置いてあって、まるでここが自分の居場所のように主張してる。
壁に飾られてる外国俳優のポスターは色褪せてて、何年も前からそこに貼ってあるみたい。

一通り部屋の中を眺めて、壁の左側にあるこげ茶色のドアに気づいた。
近づき、表と同じ真鍮のドアノブを握りしめて左に回した。

ドキドキと動きを速める心臓を手で押さえながらドアを開いた。
遮光カーテンの引かれた部屋の中はクーラーが効いてて、冷んやりと冷たい空気が漂ってた。

見たことのある礼生さんのベッドが、部屋の片隅に横付けされてる。
黒いベッドは、マンションにあったものと同じ。でも、他の家具は見たことありません。