実のところを言うと、今読んでるのも少しアダルトな感じでニガテでした。
男性キャラクターのセリフが、レイさんの言葉にあてはまる気がして妙にドキドキしてた。
人前では決して読めない気恥ずかしさもあって、私は慌てて本を閉じた。


「…レイのキャラは色っぽいから、リリィちゃんには目の毒だろ…⁉︎ 」

ソットーしそうなマンガだと言ってたのはセイジさんだった。
笑いながら同じ言葉を繰り返して、それでも……と続けた。

「なんでか読み返したくなるんだよな。ヘンな味があって…」
「女子ウケはしないんだけどね〜!」
「…だから、マニアックな雑誌に載せればいいんだよ!」
「でも、もうBLはナシだぞ⁉︎ 」

セイジさんの言った言葉に反応して、アラシさんが立ち上がりました。

「男も女も読む雑誌に載せればいいじゃん!世相を反映した雑誌なら、幾らでもあるし!」
「オレらが勝手に決めれね〜だろ⁉︎ 描いてるのはレイさんなんだから!」

言い合うような賑やかさに嬉しくなってきました。
皆は礼生さんの代わりに、ここへ来てくれてるみたいでした。


「レイをヤル気にさせたのはリリィちゃんなんだろ⁉︎ 」

帰る間際、セイジさんに聞かれました。
あご髭を生やした彼の顔を見つめ、私は言葉を濁した。

「どうでしょう…?ファンレターは書きましたけど…」

笑みを浮かべる私に、三人は口々にお礼を言った。