面会時間が過ぎて、誰もいなくなった病室で便箋を開いた。
何も書かれてない淡いサクラ色の紙を前に、初めてあの人と出会った日のことを思い浮かべた。
……『OーGATA図書館』が久しぶりに開いてるのを見て、喜び勇んで中へ入った。
埃の舞ったような空気の中、頼三さんによく似た男性が、貸出カウンターに座ってた。
頼三さんが亡くなったと聞かされ、足元が崩れ落ちそうになった。
手渡した本を受け取る時、礼生さんはぎゅっと持つ手に力を入れて、
「確かに受け取りました…」
深い声で、感謝を伝えてくれた。
頼三さんによく似た声は、私の心を慰めてくれるみたいだった。
礼生さんに会うと頼三さんのことを思い出しそうで、怖くて、『OーGATA図書館』へ通えなかった。
フツウの女子大生のように振舞いながら、気持ちはどこか違う場所にあった。
司書を募集してると聞かされ、ダッシュで向かった。
急いで書いた履歴書を、穴が開きそうなくらい真剣な表情で眺めてた礼生さんが…
『リリィ…』
呟くように名前を読んだ。
アシさん達に聞かれた採用理由は、「当て字の名前が珍しかっただけ…」だった。
縁に導かれて、今日まで時間を積み重ねてきた。
頼三さんに似た声の彼に胸をときめかせながら、募らせてきた時間。
その思いと同じように描かれたマンガのストーリーに、私は魅せられた読者の一人として、やはり言葉を贈りたい…と思った。
出だしは、『漫画家のオガタ レイさんへ』
すぅ…っと息を吸った。
ゆっくりと吐き出しながら、口元をきゅっと締める。
震えだしそうな指先に力を込めて、丁寧に丁寧に、文字を綴り始めた……
何も書かれてない淡いサクラ色の紙を前に、初めてあの人と出会った日のことを思い浮かべた。
……『OーGATA図書館』が久しぶりに開いてるのを見て、喜び勇んで中へ入った。
埃の舞ったような空気の中、頼三さんによく似た男性が、貸出カウンターに座ってた。
頼三さんが亡くなったと聞かされ、足元が崩れ落ちそうになった。
手渡した本を受け取る時、礼生さんはぎゅっと持つ手に力を入れて、
「確かに受け取りました…」
深い声で、感謝を伝えてくれた。
頼三さんによく似た声は、私の心を慰めてくれるみたいだった。
礼生さんに会うと頼三さんのことを思い出しそうで、怖くて、『OーGATA図書館』へ通えなかった。
フツウの女子大生のように振舞いながら、気持ちはどこか違う場所にあった。
司書を募集してると聞かされ、ダッシュで向かった。
急いで書いた履歴書を、穴が開きそうなくらい真剣な表情で眺めてた礼生さんが…
『リリィ…』
呟くように名前を読んだ。
アシさん達に聞かれた採用理由は、「当て字の名前が珍しかっただけ…」だった。
縁に導かれて、今日まで時間を積み重ねてきた。
頼三さんに似た声の彼に胸をときめかせながら、募らせてきた時間。
その思いと同じように描かれたマンガのストーリーに、私は魅せられた読者の一人として、やはり言葉を贈りたい…と思った。
出だしは、『漫画家のオガタ レイさんへ』
すぅ…っと息を吸った。
ゆっくりと吐き出しながら、口元をきゅっと締める。
震えだしそうな指先に力を込めて、丁寧に丁寧に、文字を綴り始めた……

