「読んだことあるよ。高校の頃だったかな…買ってた月刊マンガに、礼生さんのが載ってた」

「ルナが買ってたマンガって……少女マンガじゃなかった?」

もう一度念を押した。

「そうよ。ちょっとアダルトな感じのヤツ!軽いHシーンとかもあって、お姉ちゃんはニガテだったよね?」

懐かしそうに話すルナに戸惑いながら、大学時代のことを思い出した。


講義を終えて家に帰ると、ルナはリビングのソファに寝っ転がってマンガを読んでた。
何がそんなに面白いんだろうか…と不思議になりながら、部屋を出ようとしたら…

『お姉ちゃん、この話面白いよ⁉︎ 』

起き上がったルナが手招きをするので寄ってった。
指を刺されたページには、アダルトなシーンが描かれてて…

『あんた高校生なのに、こんなの読んでるの⁉︎ 』

慌てて本を閉じさせた。
ルナは自分以上に子供な私を笑って、これくらいフツウだと言った。

『この漫画家さんの話が面白いの!シーンは一つの飾りにしか過ぎないのよ!』

かい摘んでストーリーを教えてくれた。
聞かされた話は確かに凝ってて、面白い話ではあった気がする。



「…まさか、あの時のマンガが礼生さんの……?」

呟く私の意味するところが分からなくて、ルナは小首を傾げた。

「お姉ちゃん、礼生さんのマンガ読みたいの?私…持ってるけど、読む?」

珍しいな…といった感じでルナが聞いてきた。
これまで活字しか相手にしてこなかった私が、興味を示したのは初だった。

「読むっ!持ってきて!」

ワクワクして答えた。
初めて見る礼生さんのマンガが、すごく面白いものに思えてきた…。