恋する時間を私に下さい

さっきの夢の続きでも見てるような気持ちだった。

礼生さんは私の夢の中で、穏やかな顔をして眠り込んでた。
サラリ…と前髪をかき上げて、その額にキスをした。

そんなことをしたことなどないのに、えらく大胆な夢を見た。

実際の彼にそんなことをした日には、何を言われるか分からない。
キスどころか、私達はまだ、そんな関係にもなってない。

ユラユラと揺れてる人の首が、カクンと落ちた。
ハッとして目を覚まし、慌てたようにこっちを向いた。

パチッと開いてる瞳が寝ぼけてる。
その様子を見て、やっぱり胸が『きゅん…』と鳴った。


「……リ…」

躊躇うように口を閉ざした。
名前を呼んでくれたことが嘘みたいな気がして、急に不安になった。

手を動かしてみた。
目の前に出てきた手を、彼はしっかりと握りしめてくれた。


「……ありがとう……守ってくれて……」

握っていた手に力を込められた。
その力を感じて、嬉しさがこみ上げた。


彼が生きてることが嬉しかった。
この人を全力で守れたことが嬉しかった。

何よりも…



(生きてる……)


冷たい言葉も酷い言い方もしないで、『ありがとう…』と言ってくれた。
その言葉自体を望んでた訳じゃないけど、聞くとやっぱり、胸がイッパイになってーーーー


「…リリィ……」

一番聞きたかった声がした。
その言葉に頷くように首を振って、音の出ない声を返した。