恋する時間を私に下さい

スグルは俺なんかよりも、よっぽど人を観察してた。

「アイツはあんたのこと、ずっと熱い目で見てたのにさ…」

コウヤは彼女のことを「いけ好かない女だ」と言ってたそうだ。

「セイジから電話があって、あの子が一緒に面倒見てると聞いたから様子を見に行ったんだ。…俺がもし行ってなかったら、あの子は腕をへし折られてたかもしれねーな…」

怖い思いをしてでも、守ってくれたんだ…と教えられた。


「…すまなかった……」

青白く意識のない顔に謝った。

その顔を見つめながら、俺はまだ、何も返してないと思った。

これまで助けてもらったお礼も、美味い料理への賛辞も…彼女に対する気持ちも……何も話してない。


「還ってきてくれ……!」

手をとった。
ほんのりと温かい手を握りながら、この数日間、彼女が同じことをしてくれたんだ…と知った。


「…好きだ……」

血の気のない頬に唇を乗せ呟いた。
ひやっと冷たい頬にそうしてやりながら、それをずっと望んでたんだと気づいた。



(優しくしてやりたい……今度こそ………)

ぎゅっと抱きしめるように頭を抱いた。
長かった髪は短く切られ、きっとガッカリするだろうな…と思われた。


「でも、短くても…可愛いから……」

意識のない顔に囁く。

『恋する時間』が訪れた瞬間、悲しみが深まった……



「リリィ……頼むから…起きてくれ……!」


ベッドにしがみついた。

血の気のない顔に向かって、心から願った。