……俺の生活は、それから随分変わった。
漫画家として、順調な滑り出しだったのは最初だけで、すぐに売れなくなった。

…でも、思いつきから描くジャンルを変えたら…



「連載ものにしましょう!」

担当のカッパ…いや、加藤って男が言い出した。

「今時は、女子高生がこんな漫画を好んでよく読むんですよ!」

パンパン…!と、描いてきた原稿を叩いて喜んだ。


「女子高生が…⁉︎ 」

一部のマニア向けに描いたつもりの作品だった。
それが、一般の女子高生にウケる…と言われ、不信そうにカッパみたいな頭をした加藤さんの顔を覗き込んだ。

「これで一発、儲けましょう!大きく名前が売れれば、また、以前のような作品も描けますからっ!」


……今思えば、その場の雰囲気に流されてしまったな…と反省してる。
でも、気づくとその漫画は、本当に大ヒットを飛ばし……



「今日からアシスタントとして入りまーす!アラシでーす!ヨロシクお願いしやーす!」

19歳だという男は、痩せて目だけがギョロ…とした青年だった。

「トーン貼りとして派遣されました!轟(とどろき)です!お手柔らかに!」

ストレートの髪を垂らして、繊細な雰囲気に見せようとしてる彼は、23歳のイケメン医大生。
外科医を目指してるんだ…と言ってる割には、手に持つのはメスではなく、トーンを切るためのナイフだったらしい。


(…どうしようもねぇな…)

呆れてる所にもう一人。