恋する時間を私に下さい

『お…き…て…』

掌に文字を書いてみた。

ペンを持ち続けてきた右手には、タコのような塊があちこちにできてた。
どんな漫画を描いてても、礼生さんが必死だったんだ…という証拠。

(それが分かってるから…皆…止めなかったんだ……)


こんなに疲れきるまで描いて…
クタクタになるまで頑張って…


「礼生さんのバカ…」

呟きながら、自分は何もできてなかったんだ…と痛感した。
助けてるつもりでも、助けにはなってなかったんだ…と思った。


静かな部屋の中、眠り続ける礼生さんの手を握りしめた。

優しく扱われる自分を思いながら、怒ってばかりいる礼生さんの顔が、浮かんでは消え、浮かんでは消え…していった……。