恋する時間を私に下さい

沈んでいた意識が、再びフ…ッと戻ってきた。

重かった瞼を動かし、少しずつ目を開けようとする。
眉間にシワが寄る。
薄目を開けた先に、見慣れない部屋の景色が見えた。


(……何処だ。ここは……)


ハッキリしない意識のまま、ゆっくりと眼球を動かす。
気を抜くと、すぐに眠りに落ちそうになる。
それを…なんとかくい止めようとした。

動かした指先に、糸みたいなものが絡まってる。
必死になって外そうとした瞬間、それが髪の毛だと分かって力尽きた。

眠りに落ちそうにながら、ヤツのことを考えた。

(ここに…いるわけがない……二度と…来ないと言ったんだから…)

引きずり込まれる意識の中で、誰かの声がした……。

「礼生さん……」


聞いたことのある声だった…。

夢でも見たんだろうと思って……


「リリィ…」


……名前を呼んだ。


それから後は、眠りについてしまって分からない。

…ただ、ぎゅっと握りしめた髪の毛の感触だけが、指先に残っていたーーーー。