「取り壊さないで下さいね?」
「この図書館は私の青春時代の証なんです!」
「代が替わっても通い続けますから!」
「ずっと、ずっと…続けていってください!!」

ジイさんの死後、大勢の人から託された。
どの人も、ジイさんと図書館のことを好いてくれてた。


「ここの図書館には、高校時代から通わせて頂いてました。いつか本に囲まれて仕事がしたい…と願って、司書の免許も取得しました」


目を輝かせて話す女性の顔を見ながら、ジイさんの偉大さを改めて感じてた。

人一人の生き方を左右するくらい、大きな存在のジイさん……。

マンガを描くには、本をたくさん読め…と言ってた。
多くの人を見て、その人達の中にある一人一人の世界を想像しろ…と言ってた。

俺はそのジイさんの言葉を受けて、マンガを描いた。
そしたら、それが新人賞に輝いた。

有頂天になって……人を観察することをやめた。
マンガさえ描いていれば、いつか売れる話が描けると思ってた。



……現実は…甘くなかった。

売れなくなって、どうすればいいのか分からず迷った。
なんでもいいから描けばいいや…と、ヤケクソでペンを進めた作品が世に出た。

思いもかけないヒットになって、否応も無く、続きを描かなければいけなくなった。


……苦しかった。
……惨めだった。

描きたくもない作品を世に送り続けることが……。


やめたい…。
止めたい…。

もう…二度とマンガなんて描きたくない……!


そう思ってた修羅場明け……

女神に会った……!