恋する時間を私に下さい

コウヤさんの言いたいことが分からない。
私はいつも礼生さんに散々こき使われていたし、いいようには一度も言われことなかったから…。


「……ガタさんはいつも…リリィちゃんが来るのを待ってた。意識はしてなかったようだけど…僕にはそう見えた…」

口惜しそうに言葉を吐いて、礼生さんの方に振り返った。
眠り続ける礼生さんの頬に自分の顔を近づけて、囁くように続けた。

「ガタさんは…リリィちゃんが好きなんだと思う…。多分…初めてあの部屋に…君が来た時から……ずっと……」

挨拶に伺った時、礼生さんは修羅場明けの眠そうな表情で立ってた。
ドアを開けた瞬間、玄関にいた人が緒方さんだと分かって、ドキン!と胸が跳ね上がるような思いがした。

手を強く引っ張られて、部屋の中に入れられた。
その時からずっと、礼生さんは私を好きだったと言うの?


(……ホントに?…でも…礼生さん自身から聞いた言葉じゃないし……)

「…信じません…。コウヤさんの憶測であって、礼生さんが言ったわけじゃないから……」

この瞬間にでもいいから、目を覚まして欲しい。
目を開けた瞬間、彼の視界に私がいて、それを彼が喜んでくれたら信用する。

(そうでない限り……何を聞かされても……私は信じない……)


「…とんだ頑固だな…」

呆れるようにコウヤさんは笑い飛ばした。
笑ったままの顔でこっちを振り向いて、憎らしそうに声を荒げた。