恋する時間を私に下さい

私が隣に住む前の話。
そんな前から、コウヤさんは礼生さんを見てたんだ……。


(でも、それを言うなら私だって…ずっと館長やってる礼生さんを見てたし……)

気持ちの上では負けないつもりで、アパートの部屋に戻った。
礼生さんの側から離れようとしないコウヤさんの姿に、私以上の想いがあるみたいな気がしてくる。
その彼に負けないように…と、気を引き締めて近寄った。

「…セイジさん…明日また来てくれるそうです……」

そう話しても、コウヤさんは振り向きもせずに礼生さんを見てた。


「スグルさんからは…何も連絡ないですね……」

ジャラジャラとキーホルダーの束を持ち歩く彼のことを思い出してた。
コウヤさんはそれを聞いて小さく笑った。

「スグルは…ガタさんを自分のライバルだと思い込んでるからね」

「ライバル⁉︎ 」

「ガタさんが新人漫画賞を取った時、自分も同じように作品を出してたんだ。だけど、編集者のお眼鏡に叶ったのはガタさんで、自分じゃなかった…だから、それが妬ましいんだよ」

実力にも差があるのにさ…と呟いた。
それを聞きながら、さっきセイジさんが言ってたことを思い出した。

「コウヤさんは…自分から礼生さんのアシスタントになりたいって、編集部に頼んだと聞きました…」

それも全部、礼生さんのことが好きだからかな…と考えてた。
でも、コウヤさんはプッと吹き出して笑った。