恋する時間を私に下さい

ダークブラウンの髪を短めにしてるコウヤさんが、私の顔を真剣に眺めてました。
ここで目を離したら負けのような気がして、一生懸命見返した。

緊張するような時間が少し流れた後、コウヤさんはこう呟いた。

「……僕らの時間の邪魔をしないでくれよ…」

ハッキリした言い方に「えっ⁉︎」となった。

「僕とレイさん、二人だけ時間がやっと訪れたんだ…。だから、邪魔しないでくれ!」

「えっ…そ、それ…どういう意味ですか⁉︎ ……」


訳も分からずにコウヤさんを見つめ直した。
コウヤさんは息を吐きながら、私を押し退け、礼生さんの枕元に座りこんだ。

「ガタさんと僕は、恋人同士だ…」

「…ええっ⁉︎ 」

信じられなくて、思わず大きな声が出た。
コウヤさんは、うっとりした顔で礼生さんの頬を撫で…

「やっと…僕らの時間がきたね…」

…と囁いた。

それから、私の方を振り向き…

「そんな訳だから…君は帰っていいよ。ガタさんの介抱なら僕一人で十分だし、もしも意識が戻ったら、きっと同じことを言われると思うから…」

ぎゅっと彼を抱きしめて離さないコウヤさんの姿は、異様な感じすらした。

世の中には、同性の方しか愛せない人がいると、聞いたことはあるし知ってるつもりではいたけど……


「まさか……やっぱり礼生さんも……」

いつかの病院帰りにちらっと立ち読みした雑誌のことを思い出した。
表紙に『オガタ レイ』という名前があった。
「ボーイズ・ラブ」と書かれた雑誌には、男同士で抱き合うシーンやキスシーンが描かれてて……