それは紺色の折り畳み傘で…
「俺はこっちの傘あるから、香川さん折り畳み傘使って」
「…え、あ…」
突然の申し出と優しさに戸惑っていれば、
半ば強引に私の手に折り畳み傘を持たせる北見。
何だこの優しさでできている様な男は!
生きるバファ●ンか!
擬人化か!
「いいの?」
あっけに囚われながらも確認すれば、
ニコッとした顔がニコニコという笑顔になって、
「良いんだってば!」
と答える北見。
こんな純粋な優しさ、傘に困ってた今使われると、
とても暖かくなる。
人の優しさって暖かい。
「…かたじけない」
人の優しさに照れながら小さな声で言えば、
北見は『ぷはっ』と噴出して、
「何で武士?」
と、楽しそうに笑っていた。
その笑いも下品な物じゃなくて爽やかなんだ。

