「じゃあ、傘使ってね」 そう切り出してから外に出て傘を広げる北見。 「あ、傘ありがとう。後で返しに行くから」 私が北見の背中に言えばクルッと振り返り私と目を合わせた。 その目が少し真剣で… 「傘貸した代わりに…―――」 北見はまた私に背中を向けると、 私の言葉を聞かぬようとするように傘を差して走って行ってしまった。 ジッと手元に残された紺色の折り畳み傘を見つめる。 北見の顔、心なしか赤かった。 多分私の今の顔と同じ色。